感想: ローポリで作る3Dゲームキャラクター制作ガイド

ローポリで作る3Dゲームキャラクター制作ガイド

ローポリで作る3Dゲームキャラクター制作ガイド

こちらの本を実際に写経(手を動かしながら本を読み進めること)してみて感じたこと等をまとめます。

過去に2冊ほど別のモデリング教本を読んで挫折したことがある私が初めて挫折せずに最後まで読み進めることが出来た本ということで、著者のさぼてんさんには大変感謝しており、以下は本書を褒めちぎる内容となっています。

これからMetasequoiaモデリングを学ぶ人が本書を読むべき3つの理由

  • Metasequoia4対応
  • キャラクターモデルを作ることが目的
  • 挫折しにくい構成

1. Metasequoia4対応

情報が新しいということにはそれだけで価値があります。本書は最近リリースされたばかりのMetasequoia4に対応しており、旧Metasequoiaと操作方法が異なる場合は「Metasequoia4ではこのように操作します」ということが必ず併記してあります。

2. キャラクターモデルを作ることが目的

この本にはキャラクターモデルの作り方しか載っていません。それはティーカップや花瓶を作るという退屈な作業をしなくていいことを意味します。そしてゴールを1つに絞ることで難しい髪や手や足のモデリングにもしっかりとページを割いて解説してあります。

3. 挫折しにくい構成

何かモノを作るにあたって小さなモチーフ(ネタ)を形にするまでは簡単なのですが、作品として人に見せられる形としてアウトプットすることには別次元の難しさがあると思うことがあります。

例えば音楽で「最高のサビのメロディを思い浮かんだ」、「しびれるギターソロを思い浮かんだ」、ここまでは良いのですがこれを曲として全体の構成をデザイン(設計)するということがなかなか出来ません。またそれを他人に聴かせるためにはノイズの除去や、音量の調整、マスタリングなど音楽の本質とは少し遠ざかる作業も行わなければなりません。

このように初心者が挫折する原因の1つに「作業の全体像がわからずゴールまでの道のりが必要以上に長く感じてしまう」ということがあると考えます。その点において本書の構成は優れています。

他の本によくある構成

  1. 簡単なモデルを作成する(人型ではないこともある)
  2. 人型などの難しいモデルを作成する
  3. UV展開とテクスチャ作成
  4. ボーンとアンカー作成

本書の構成

  1. 簡単な人型モデルを作成する
  2. UV展開とテクスチャ作成
  3. ボーンとアンカー作成
  4. 難しい人型モデルを作成する

ボーンとアンカー作成までの全体の流れを、まず簡単なモデルでひと通り体験させる構成になっています。簡単な人型モデルを用いて全体の作業を体験することが出来るので、たとえば「簡単なモデルを作成することは出来たけど、難しいモデルを作るときに手のモデリングが難しくてボーン作成まで辿りつけない」といういわゆる「挫折」という現象が起こりません。挫折しにくい構成になっているからです。

最後に

他にも著者独特の手法(格子の使い方など)が紹介されていたり、カラーの解説画像が満載だったり、付録が充実していること、お手本モデルが素晴らしいこと、テクスチャの描き方まで触れられていることなどたくさん紹介したい点がありますが、他の本と比べて特に優れていると思ったことを3点だけ挙げさせていただきました。

この本を通じてモデリングを勉強出来たことを嬉しく思います。著者のさぼてんさん、改めてありがとうございました。

参考

さぼてんさんのブログ: http://wombat3.t4ub.com/

私の写経の記録: http://cignoir.hatenablog.jp/archive/category/%E8%AA%AD%E6%9B%B8